2001年8月に制定されたマンションの管理の適正化に関する指針では、管理の主体は管理組合であり、区分所有者は管理組合の一員としての役割を十分認識して管理組合の運営に関心を持ち、積極的に参加してその役割を適切に果たすように努めなければならないとされています。
残念ながら、そのように活動・意識ができているところが少ないのが現状です。管理会社は、管理委託契約書で運営の補助を行うとなっていますが、役員が輪番制で交代するという状況下、特に任期が一年のところは慣れたところで交代時期になることが繰り返されて、管理会社のフロントマンからの提案待ち、いわゆるお客さん理事会になってしまっているところが多いからです。
管理組合の一員としての役割を十分認識している役員さんは、セミナー等を探して積極的に参加することで情報を集める努力されています。そして、フロントマンからの提案も鵜呑みにせず、セカンドオピニオンとして専門家にアドバイスを求めて来られます。起きている問題、将来問題になる課題に対して先送りせず、解決に向けて体制を整えようとします。
築年数により抱える課題は異なりますが、大規模修繕工事の回数が増えるたびに課題は多くなってきます。特に2回目を終えたところでは、これから多額な費用が必要な設備の交換時期と重なり、3回目が視野に入ると修繕積立金額を増額しなければ乗り切れないところが多くなります。
管理計画認定制度で長期修繕計画の期間が、既存マンションも計画期間が25年から30年になり、大規模修繕工事も2回計画されるように基準が変更されています。役員になった方は、まず、計画がどのようになっているか、確認しましょう。計画立案から今までの工事履歴も確認して、計画の進捗状態、将来の資金の過不足についても確認してみてください。
計画について疑問点があった場合、担当フロントマンに確認するか、専門家にアドバイスを求めましょう。
将来どの様なマンションにしていくか、方向性を合わせて古くてもビンテージマンションを目指してはいかがでしょうか。
長期修繕計画や現状の管理に不安を感じた場合は、他の区分所有者と現状や不安に思っている点を話し合ってみる、専門家のアドバイスを聞いてみるという行動を起こしてみてください。
管理の主体が管理組合にあるかのチェックポイントをあげてみます。
① 理事会日程は、就任した役員が集まりやすい日時を話し合って決められているか、管理会社の方で日程を提案して決めているか
② 管理組合のポストの管理は誰が行っているか、役員or管理人さん
③ 理事会の議題は誰が決めているか
④ 管理会社に改善点がある場合、申し入れを行える環境にあるか
⑤ 区分所有者から理事会へ意見や提案が言える方法があるか
この5点を一度チェックして、管理組合の運営方法を考えてみてください。