点検は、継続的に実施することで、事前に具合の悪いところが発見できる重要な作業です。設備や法律・契約により点検間隔は異なりますが、理事として報告書には必ず目を通し、理解できない部分は管理会社の担当者に聞きましょう。
管理会社は専門的な点検は第三者に委託しているのが現状です。マンション標準管理委託契約書の第4条にも明記されています。そのコメントでは、排水管の清掃業務や消防用設備等の保守点検業務等は、再委託業者が業務を執行する上で直接マンションの住民と接触すること等があることから、契約締結時に再委託する先の名称が明らかな場合は、事前に通知するのが望ましいとされ、変更や追加についても事後すみやかに報告することが望ましいとされていますので、点検のお知らせにも点検実施会社の名前を記載してもらいましょう。
管理会社によっては、再委託を禁止しているところもありますが、現状はその通りになっていないこともあります。本来なら、管理会社から点検作業ごとに直接委託するはずですが、ビルメンテナンス会社等にまとめて委託する場合が見受けられます。実際にマンションに来る点検者の名前と所属会社名を聞いてみましょう。
また、いつも同じ人が点検してくれる安心感はありますが、同じ状態でも違った目で視てもらうと新たな指摘がでる場合があります。報告書をチェックしていつも同じメンバーでしたら、たまに変更をお願いするのも一つの方法です。
そして、理事として前回の点検報告書を持参して、点検作業に立ち会うことは大切なことです。作業により異なりますが、点検者も一日何ヶ所も点検する場合があります。立会い者がいるといないのとでは気持ちや緊張感が異なります。点検中は話しかけずに終了後、日頃の疑問点を含めて聞いてみてはいかがでしょうか? 「このマンションは真剣で熱心」と点検者にも伝わります。
長期修繕計画の交換時期を点検者に伝えてあげると喜ばれる場合があります。点検者は点検日の時点で指摘をあげますが、関連した設備の入れ替え時期が分かれば、指摘の範囲をより現実的にできるのです。
「理事になったら点検作業に立ち会う」。このことが伝統的に引き継がれると設備等の理解が深まり「このマンションは必ず立会いがある」という記録が点検会社に残ることで、しっかりとした点検にも繋がります。点検作業と報告書、長期修繕計画を比べることで次期以降の施策も見えてきて、管理全体を考えるきっかけになります。点検作業には、なるべく立ち会うことをお勧めします。