マンションを所有すると毎月管理費と修繕積立金を管理組合が指定した口座に支払うことになります。管理費からは、マンションを維持して行くために必要な点検費、水道光熱費、管理会社に管理を委託している場合は管理委託料等を支払っています。
修繕積立金は、30年間に必要な工事を長期修繕計画書で計画して、それに基づき専有面積に応じて各戸が毎月支払い、それを積立金会計に積み立て、工事時期が来た場合、調査や見積もりを取得した上で総会承認を得て、実施しているところが多いようです。
どこの新築マンションも10年未満は、大きな工事はなく、アフター・法定点検がメインになりますが、10年を経過すると消防設備の消火器の全数交換、連結送水管耐圧試験、屋内消火栓ホースの耐圧や更新と一気にお金が必要なものが出てきます。
また、修繕積立金徴収額を将来に備えて適正な額にしていないマンションは、第一回目の大規模修繕工事の終了後に15年程度で更新するインターフォン工事を実施するために必要なお金が不足して、借入や徴収額の大幅な値上げをしないと乗り切れない状態になってしまいます。
2016年に売り出され早々に完売した東京メトロ沿線で、駅から徒歩8分、19階建て、総戸数360戸、大手不動産屋が分譲主として、受託件数10位以内の大手管理会社が管理することになったマンションがあります。ところがそのマンションの管理費は、180円/㎡・月に対して修繕積立金は、93円/㎡・月となっていました。これは前に記載した通り10年経過したときに必要な維持費や第一回目の大規模修繕工事を考えると早く修繕積立金を値上げしないと必要な工事を先延ばしにしないといけないことになってしまいます。
2024年2月に国土交通省が新築のマンションが多く採用している段階増額方式において、当初の徴収額からの増額幅の上限を1.8倍とする方針を出しました。これはマンション購入時の修繕積立金徴収額を低額に抑え、後から大幅に増額する計画で売りやすくしている販売優先の考え方を阻止する狙いがあります。
2024年以前に販売された築浅マンションで、修繕積立金徴収額を低額に抑えられているところは、早い時期に長期修繕計画を見直して修繕積立金徴収額をどのようにするか議論して、適正化することをお勧めします。