一代限りペット飼育を容認したマンションの事例を紹介します。飼育者をちらほら見かけてはいましたが、大きな問題になっていなかったので、大目に見ることとし、月日が経過してしまったようです。
ところが無駄吠えや「共用廊下を抱きかかえないで歩かせて使用しているのはいかがなものか」という苦情が理事会に届くようになりました。理事会でペットについて話題になったこともありましたが、具体的な行動を行わず、解決には至らない案件だったようです。
「自分たちの任期中に何とか解決したい」という思いで相談に来られました。総戸数80戸、築32年のファミリータイプのマンションで、細則で犬・ネコの飼育は禁止事項とされていましたが、役員が輪番制と言うこともあり、いつのまにかペットの飼育者が増えてきて、現在はどの位の人が飼育しているか把握ができていない状態でした。
理事会の意向は、細則通りに解決したいということでしたので、実態調査、調査結果の公表、一代限りペット飼育細則の制定、説明会・総会の開催と契約期間中は理事会にも出席して他の問題も助言するという業務内容で委託契約を結ぶことを理事会で決議してもらい、議事録で広報を行い、次期総会時に追認してもらうスケジュールにしました。翌月の理事会で業務委託契約が承認され、業務がスタートしました。
まず、現状把握を兼ねてアンケートを実施、質問項目は絞り込み、組合員の皆さまが現状をどのように感じているかご意見を伺うことを中心にしました。
その結果、「今飼育中のペットは認めてほしい」「ペット可のマンションにすれば価値が上がると思う」「ペッと一緒だとひやひやしながら共用廊下を通行していた」等の意見が寄せられましたが、飼育は元々禁止のマンションだったのでそこは維持したいという意見が圧倒的でした。飼育者数は12件で、犬が7件、ネコが5件でした。
次に一代限りの細則を作成し、ペットの登録台帳と誓約書を作成して、毎年9月に同じペットであることを確認してシール(費用は飼育者負担)を発行して更新ができる体制を理事会に提示して、議論の上、最終案を決定しました。
説明会開催前に一代限りの細則案と登録台帳見本等一式を各戸に配付して、説明会時にご意見を再度伺うことにしました。
説明会ででた主な質問と回答は、
①一代限りが本当に守られますか。
➡総会前に飼育する動物を申請してもらい議案に飼育宅とペット頭数を承認してもらい、そのペットのみを一代限りとします。その後毎年9月に写真と現物を確認して更新していくので、歳月が経過とともに頭数は減っていき、ゼロになった時点で細則も廃止します。
②隠れ飼育者がいた場合の対応はどのようになるのでしょうか。
➡管理規約にある(理事長の勧告及び指示)や(義務違反者に対する措置)で対応します。
③新たに引越ししてきた人がペット飼育者だったらどのような対応になるのでしょうか。
➡総会で承認されていないペットの飼育はできません。当マンションはペット飼育禁止、総会で承認されたペットのみ一代限り飼育できる旨のポスターを掲示することも付け加えて説明しました。
翌月の臨時総会で、一代限りペット飼育細則と私との業務委託契約の追認も承認され、一代限りペット飼育がスタートしました。「問題を解決させる」と役員が決断することが一番大切ですが、役員だけでは進めることが難しいと思われるところは、費用はかかりますが第三者の専門家と契約して解決することも一つの選択肢だと思います。