SDGsとは、2015年に国連サミットで採択された2030年までにすべての国連加盟国が達成を目指す17の目標、169のターゲットと232の指標のことで、「持続可能な開発目標(サステイナブル・ディペロップメント・ゴールズ)=将来世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、現代のニーズも満たすような開発」の略です。
そして、経済(経済的な豊かさ)、社会(一人一人の人権の尊重)、環境(地球環境の保護)の3つのバランスを取ってシンプルな生活様式を取り入れ、環境破壊をとめ、地球を人類が住み続けられる場所に維持することの取り組みです。
マンション管理の中では、SDGsを意識していなくても国土交通省のガイドラインに沿った形で運営されているところは、そこに組み込まれているので、自然に実施されている項目があります。
例えば、長期修繕計画にある玄関ドア・アルミサッシの交換は温暖化防止に貢献すると同時に、生活も豊かにしてくれます。バリアフリー化を進めることは「誰ひとり取り残さない」という理念に繋がります。
しかし、会社が熱心に経営理念等に取り入れて、教育を受けている人や学校で教育を受けた人が社会に出るまでは、今のところSDGsの知識が不足している人が多く、管理組合が業者選定時にSDGsを意識した項目の設定や予算を計上しているところはほとんどありません。
例えば、工事の業者選定で、見積もりを取得したところ、A社100万円、B社120万円、C社150万円だった場合、SDGsへの取り組みがC社→B社→A社の順であっても現状では、C社を選定して、組合員に説明するのは、かなりハードルの高い作業となります。
競合他社との関係や横並びで業者を評価出来る指標(ものさし)を準備しておき、選定時のヒアリング等で評価してウエートも設定しておくことが必要になります。
「より安いもの」を求めることは、コストの抑制が前面に出て、取引業者従業員の労働悪条件に繋がる可能性があり、ステークホルダー(利害関係者)もチェックする必要が出て来ると長続きしません。
非営利団体グローバル・フットプリント・ネットワークは、持続不能の実態を「見える化」しました。それによれば、2016年の段階で地球1個分を維持するのに一年間で1.69分の資源消費によって成り立っていました。
つまり、毎年0.69多く消費しているので、いずれ枯渇状態になることを表しています。持続可能な状態にするには、科学技術イノベーションの社会への導入を期待しながら、大量生産・大量消費・大量廃棄をやめ、エシカル(*1)消費を心掛けて、消費を現在の40%減にする改革がひとり一人に求められているのです。
今、管理組合として行うことは、組合員にSDGsの広報を行い、多くの情報共有を図ることです。そして「自分たちのマンションを将来どのようなマンションにしたいのか」という方向性を明らかにするために、2015年に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030年アジェンダ」に沿って、SDGsに対する取り組みも議論して、変革を取り入れた計画で合意形成をすることが求められています。SDGsに沿った変革こそが、中長期的に管理組合の運営を安定させ、経済合理性に繋がります。
*1「エシカル(倫理的な)」という大きな傘の下に「フェアトレード」を筆頭に「オーガニック」や「地産地消」、「障がい者の支援につながる商品」、「応援消費」、「伝統工芸」、「動物福祉」、「寄付付き商品」、「リサイクル・アップサイクル」、「エシカル金融」など幅広い消費の形があります。