長期修繕計画は、5年ごとに見直しをすることがガイドラインで勧められています。2021年9月の改定では既存マンションも計画期間を30年以上、その間に大規模修繕工事が2回と19項目で計画することとされました。2022年4月から始まった管理計画認定制度では、審査条件に最終年度に借入金の残高がないということも追加されています。
最近見直しを行ったマンションでは、材料費と人件費の高騰により現状の徴収額では不足することが明らかになり、1.5倍~2倍の金額が必要になったところもありました。
修繕積立金の徴収額を少しでも抑える一つの方法として、大規模修繕工事の周期をガイドラインの12年から少し延長して14年〜18年にする提案をしている専門家もいます。
施工方法やシーリングの性能から周期をどの程度延長できるか関係者と協議して検証する必要があると思います。
第1回目の大規模修繕工事が終わったマンションで、長期修繕計画を見直す時にエレベーター、給排水立管、玄関扉、サッシュの5つの項目が更新されるような計画になっているか確認することがチェックポイントで、第2・3回目の大規模修繕工事単価の妥当性を議論してもなかなか結論がでません。工事単価を気にするなら物価上昇分を全体で別項目で計上することをお勧めします。
築年数が30年〜40年となるマンションは、エレベーター、給排水立管、玄関扉、サッシュ更新の大きな工事時期となり、徴収金額が十分でなかったところは、自己資金が不足して借入か一時金徴収をしなければならないこととなります。マンション管理認定制度の申請を考えて長期修繕計画を見直す場合、期間を30年で2回の大規模修繕工事を計画すると最終年に近い年に大規模修繕工事が来て、借入金の残高が残る状態になる場合があります。その場合は、長期修繕計画の期間を40年間とし、借入金なしで黒字化にすることも選択肢の一つです。
また、この時期に建て替えか、修繕工事で建物を維持していくかを検討して、将来の方向性を決めておきましょう。
修繕工事で建物を維持していくと決めた場合は、改良工事で新築マンションには当たり前に設置されている設備等を全て取り入れて行く、優先順位をつけて要望の多いものだけ取り入れる、補修工事を優先して積立金残高と相談して一部を取り入れるというようにマンションの将来像をどのようにするか、どのようなマンションを目指すかをアンケート等で居住者の意向を確認して、それが長期修繕計画に反映できるようにしたいものです。
マンションの将来像の方向性が決まっていれば、それに対応した積立金額の合意も得やすいと思います。