名簿の整備(緊急連絡先)Vol.2 - 酒井貴生マンション管理士事務所

【コラム】マンション管理110番

(70)名簿の整備(緊急連絡先)Vol.2

 2022年4月から実施されている「管理計画認定制度」は、17項目すべてをクリアしないと認定されません。ハードルが高い一つの項目に「名簿の整備」があります。

 

 その認定基準は「区分所有者及び居住者の名簿を備えていて、各名簿について年1回以上、内容の確認が行われていること」となっています。更新の例としては、総会の出席や書面決議の内容を区分所有者名簿と突合する、居住者名簿と表札・ポストの突合を行うこととなっています。

 

 ところが名簿はありますが、年1回以上、内容の確認(更新)がされていないところや組合員名簿があっても居住者名簿は作成していないところが非常に多い状態です。

 

 名簿に記入する内容は、部屋番号、氏名、固定・携帯番号、メールアドレス、外部のオーナーには住所も記入してもらい、緊急連絡先は第一、第二順位まで記入してもらうことが理想ですが、個人情報保護法が施行されてからは、なかなか集められなくなってきました。個人情報が理事会の役員が輪番制のため、その時点の役員に見られてしまうということが心配で提出が進まないということが原因のようです。

 

 特に独居の高齢者の場合は、居住者との方と話す機会も少なく、管理人さんも「いざというとき」に連絡がとれないということを心配されている例が多いのです。

 

 日頃、独居の高齢者に声をかける様にされているようですが、しばらく姿を見かけない場合は特に気になるようです。そのような人から了承してもらい緊急連絡先を聞くことは大変な作業であり、誰がどのようにその情報を管理していくかルールが問題となります。

 

 そこで、通常はこれらの個人情報を見られないようにして、緊急の場合に限り見ることができる対応の方法をご紹介します。

 

 A4の用紙に必要事項を記入できるように一覧表を作成して、A5版の中身が見えない封筒が売っていますので、そこにも部屋番号と氏名が記入できるようにして配付します。

 

 A4の用紙と封筒を記入してもらい封をして、現金書留のように自分の印鑑で押印してもらい、管理組合に提出してもらいます。

 将棋で言えば、封じ手のような封に入れる仕組みです。


 年によって封筒の色を変えて提出年を即座に分かるようにすることもいいかと思います。

 

 通常は封筒を開封することはなく、災害時や具合が悪くなり意識がない緊急時に限って開封し、緊急連絡先に連絡をするというルールを定めておけば、輪番制で役員が入れ替わることで個人情報が見られるという心配はなくなり「いざ」という時に助けてもらえるということが出来る方法だと思います。

 

 この方法を採用して、提出しない住戸は「いざ」という時に連絡してほしい人に連絡ができませんというコメントを案内文に記載して緊急連絡先入りの名簿(封筒)の提出を募ったところ、今までは50%台の提出率のマンションでしたが、90%以上の住戸が提出してくれたという例もありました。

 

 名簿の整備は、総会等の通常の活用のほかに災害・緊急時の利用も考えて作成することをお勧めします。

 

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